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★分子栄養学(三石理論): 慢性炎症と生体

炎症という生体反応
 病原微生物の感染や外傷や化学物質などが組織を損傷して、赤く腫れて痛むといった症状をひきおこす“急性炎症”は、生体の防御反応であり、ほとんどは一過性で、一定の経過をたどって元通りに修復されます。
 炎症とは、“傷害に対する生体組織の反応であり、血管や結合組織などに変化が生じ、やがて傷害の原因が除かれて組織の修復にむかう経過をたどる”というのが、その定義でした。すなわち外的要因による生体の防御反応というわけです。
 近年、急性炎症に対して“慢性炎症”という語が登場し注目されています。
 慢性炎症は、糖尿病や循環器疾患、骨粗鬆症、アルツハイマー病などの“非感染性疾患”に共通する基盤となっている病態であるという認識が生まれたのです。
 慢性炎症は、急性炎症にみられる症状はあらわれないまま、長期間持続されるうち、複数の臓器が相互に関連し拡大してゆくと考えられています。

炎症反応の成りたち
 急性炎症では、傷害原因の排除にむかって血管が反応し、白血球や免疫抗体などの血漿タンパクを運びます。
 毛細血管への血液流入が増加して、炎症の徴候に挙げられる潮紅や発赤がおこります。細静脈の透過性が高まって、白血球やタンパク質が組織へ出てゆきます。
 組織は、細胞と細胞外の成分とで成りたっています。細胞の間を埋めるのが、コラーゲンを主体にした細胞外マトリックス(ECM)で、これが炎症の場となります。
 マスト細胞やマクロファージや好中球などがヒスタミンやインターロイキンなどを放出し、発熱・腫れ・痛み・発赤といった徴候があらわれることになります。

 慢性炎症では、炎症反応をひきおこす要因が明らかではなく、初期には組織の変化が認められないことが少なくありません。また臓器によってその表われ方が多様であり、分子レベル・細胞レベルでの解明が期待されました。
 ガンや糖尿病、動脈硬化、アルツハイマー病などの神経性疾患、慢性の腎臓病や腸疾患、脂肪肝や気管支ゼンソクといったそれぞれの病態において共通の基盤であり、慢性炎症の制御は老化の抑制にもつながっています。
 炎症の研究は、反応をおこさせる因子やその作用メカニズムだけでなく、反応の収束を担う炎症抑制メディエーターの協調や、マクロファージや好中球のかかわり方を明らかにしました。
 炎症のはじまりでは好中球が増加しますが、その後減少してゆきます。好中球の減少はアポトーシスで、死んだ好中球がマクロファージに貪食されることが炎症の収束に必要だというのです。
 アポトーシスや、それを認識して除去するしくみに異常が生じると慢性炎症のひき金となって、自己免疫疾患などの発症につながることや、n-3系脂肪酸 (EPA、DHA)やアラキドン酸から誘導される脂質メディエーターや、ステロイドホルモンのコルチゾールなどの炎症抑制作用に重要な役割のあることがわ かってきたのです。
 炎症が収束されると、マクロファージはリンパ管にはいり、リンパ節へ移ってゆきます。

センサーと自然炎症
 生体内でつねに生じていて、慢性炎症の火種となっているのは、死細胞やこわれた細胞の構成成分、異常代謝の産物、免疫における抗原と抗体の複合体の組織への沈着によるアレルギー反応などです。
 このような内因性の有害物質に対して、従来は外来の病原微生物成分を見つけるセンサーとされていた受容体群が応答することがわかり、自然炎症という考え方が生まれました。
 病原体センサーとして最初に発見されたのはトル様受容体(TLR)で、マクロファージや樹状細胞がもっています。ヒトではTLR1からTLR10まであり、それぞれが異なる病原体成分(飽和脂肪酸や核酸など)を、見分けています。
 TLR3、7、9は自己の核酸にも応答するすることがわかりました。核酸は自己免疫疾患での代表的抗原であり、この発見によって自己免疫への理解がすすみました。
 TLRの認識する体成分には、酸化リン脂質、HSP(シャペロンタンパク)、ヒアルロン酸、急性期タンパク(炎症反応がおこったとき、肝臓で合成され血中に出てくるタンパク質)などいろいろあります。
 TLRはふだんから体成分との相互作用をしていますが、組織の傷害がおこり核酸などが増えたり、異常成分が出てきたりすると炎症反応を進行させるのです。
 このような生理的状態から病的な状態までを連続的に考えるのが自然炎症です。自然炎症という見方は、慢性炎症の理解を助けるものといえましょう。

炎症と低酸素ストレス
 慢性炎症は、組織に低酸素環境をつくり出します。
 免疫担当細胞などの活動がさかんになるので代謝に必要とする酸素が増加するのに、血流量が低下して、低酸素と低栄養に追いこまれるのです。
 もともと体内の酸素濃度は平均して2~9%ほど(大気中では21%)で、組織間のちがいもあります。
 血中では13%ほどですが、皮膚の表面では0.5~1%、腸管壁では0.2%にも足りません、炎症が生じるとさらに低酸素になるというのです。
 慢性的に低酸素状態がつづくと、HIFとよばれるタンパク質がつくられて、赤血球新生や血管新生、解糖系酵素群、細胞増殖、アポトーシスといった細胞機能にかかわる100以上の遺伝子の発現を制御する転写因子としてはたらき、組織のエネルギー獲得を助けます。
 HIFは、自己免疫にともなう炎症反応の場である皮膚や腸管粘膜で、低酸素状態であっても免疫担当細胞が活躍できるように助ける一方、過剰な反応は抑えるようにはたらきます。
 自然免疫を担う白血球の武器は活性酸素であり、酸化ストレスを生じるリスクがあるので制御の必要があるわけです。
 低酸素状態の持続は、組織の線維化もすすめるとされています。

慢性炎症と疾患
 近年、内臓脂肪の蓄積が、低酸素ストレス、酸化ストレス、小胞体ストレスから慢性炎症状態をつくり“メタボリックシンドローム”の原因になるといわれる ようになりました。メタボリックシンドロームは、糖代謝、脂質代謝の異常と高血圧とが重なって、糖尿病や心血管疾患にかかりやすくなる身体状況を指してい ます。

 肥満脂肪組織では、アディポサイトカイン分泌に変化が生じます(左図)。インシュリン作用を助けたり、炎症を抑えたりする善玉サイトカイン(アディポネクチン)が減少、代って炎症をすすめるタイプのサイトカインが増えてくるのです。
 低酸素状態では、タンパク質のフォールディングが正しくすすまず、異常タンパク質の蓄積(小胞体ストレス)やマクロファージによる炎症性サイトカインや活性酸素の放出がつづくことになります。
 炎症性サイトカインのTNF-α(腫瘍壊死因子)が循環系によってひろがり、“インシュリン抵抗性”による病態がつくられます。

血管・神経・骨
 炎症性サイトカインは、血管壁に炎症性変化をおこさせます。炎症は活性酸素の産生を促して酸化ストレスを増大させ、血管内皮型NO合成を抑制し、動脈硬化をすすませます。
 インシュリン抵抗性は、血管ばかりでなく神経炎症にもかかわっています。高血糖は糖化ストレスの産物であるAGEの蓄積により、インシュリン分解酵素が活性化して炎症性サイトカインが出てくるというのです。
 脳内の血管構造は加齢によって、細動脈の屈曲などの変化を生じます。そのため血流が低下し、酸化ストレスがおこりやすくなり、ミクログリアがかかわる自 然免疫系の作用が慢性神経炎症の原因になります。これがアルツハイマー病と血管性認知症とに共通したリスク因子になります。
 炎症性サイトカインはコルチゾールの作用を増強し骨形成の抑制や骨細胞のアポトーシスをもたらして、骨粗鬆症や骨折の原因になることもわかりました。
 いろいろの加齢性疾患への対策の鍵は慢性炎症にあるといえるでしょう。

代謝・免疫と慢性炎症


栄養代謝と炎症
 生命の営みは、外界から酸素や水や栄養成分をとり入れることで成りたっています。
 栄養成分は、細胞によって代謝され利用されますが、そのプロセスでの量的変化や質的変化によって、炎症反応を促進あるいは抑制します。それが生活習慣病の発症や個体老化にかかわっています。

 左図に示されているように、栄養素やその代謝産物が作用し、また肥満による代謝破綻により小胞体ストレスや酸化ストレスやインフラマソーム活性化などの 状況を生み、慢性炎症を形成してゆくというのです。その構図のなかでは終末糖化産物(AGE)や前述のTLR(トル様受容体)が重要な役割をしています。
 インフラマソームは、炎症性サイトカインを誘導するタンパク質の複合体で細胞質にあり、病原微生物が感染したときなどで活性化し、炎症性サイトカインを分泌します。
 動脈壁に蓄積したコレステロール結晶のインフラマソーム活性化が動脈硬化の発症をすすめ、持続する高血糖やミトコンドリアで発生する活性酸素も同じくインフラマソームの活性化因子になっています。



糖毒性
 インシュリンを合成・分泌する膵臓β細胞はSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やグルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化酵素の発現が少なく、 酸化ストレスに弱いことが知られています。また高血糖がつづいてインシュリン合成を促す刺激を受けると小胞体ストレス応答がおこることがわかりました。
 高血糖状態がインシュリン分泌障害やインシュリン抵抗性を増大することを“糖毒性”といいます。
 糖毒性は糖尿病でなくても、清涼飲料水を多量に飲む習慣からもおこります。糖質含有量の多い飲料は急激に血糖値を上昇させます。これがつづくとβ細胞からのインシュリン分泌が低下するという例が報告されているのです。
 高血糖から生じるAGEは、血管内皮細胞上に存在するRAGE(終末糖化産物受容体)によって認識され、結合するといろいろのサイトカインを放出させて酸化ストレスや慢性炎症をひきおこします。
 AGEは、食品中にもあって、これが摂取されると、内因性のAGEと同じように炎症促進作用をもつと報告されています。

老化と慢性炎症
 100歳以上の長寿者での遺伝子型疫学研究の結果、抗炎症サイトカイン遺伝子に特徴のあることがわかったと伝えられています。
 マウスの実験で、食事制限をすると脂肪組織や脳組織での炎症関連遺伝子の発現が抑制されて炎症がおこりにくくなっていることや、アスピリンなどの非ステ ロイド系抗炎症薬の投与で寿命が延長されるといった報告があり、個体老化が炎症により誘導されると考えられるようになりました。
 ヒトの炎症性サイトカインの血中レベルを調べた研究では、60歳代では20歳代にくらべて炎症マーカーCRP(C-reactive protein)の上昇が明らかでした。
 動脈壁へのマクロファージの浸潤も、高齢者グループで増加しており、脳内のミクログリアの活性化も高年齢で顕著なのです。
 体細胞は一定回数の分裂ののち、増殖を停止します。これを細胞老化といいます。そして老化細胞の特徴のひとつが、炎症性サイトカインなどの炎症を促進する因子を出しつづける性質をもっていることです。
 血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、線維芽細胞、脂肪細胞で、細胞老化と炎症性サイトカインとの関係が確かめられました。それは細胞老化が炎症を誘導し、それによって細胞老化がすすむというフィードバックサイクルの関係でした。

免疫系の変化
 加齢は免疫という生体防御システムにも変化を生じさせ、“非自己の排除”という本来の機能が低下します。
 病原微生物だけでなく、感染された細胞、ガン化した細胞、死細胞も排除の対象になるので免疫能の低下は、慢性炎症の出現を容易にさせてしまいます。
 慢性炎症は、加齢にともなう老化現象の成りたちに密接であり、免疫系は両者を結びつけています。

インフラメイジング
 疾患の種類とは関係なく、加齢にともなって全身の組織・器官におこってくる慢性炎症は、“インフラメイジング”とよばれています。
 インフラメイジングは、持続的な炎症反応であり、血中には炎症性物質が増加しており、自己抗体もふえています。
 免疫機能が低下するのに、炎症という免疫反応が増加したり継続したりというパラドックス的関係の理由は、疫学的研究や基礎研究から、症状のあらわれない慢性感染がひとつの原因と考えられています。
 アルツハイマー病のようにゆるやかに進行する神経変性疾患には、脳の免疫を担うミクログリアの活性化による慢性炎症が指摘され“慢性神経炎症”とよばれています(下図)。



メグビーインフォメーションVol.371「新しい「炎症」研究」より


www.megv.co.jp/web.php メグビーさんちより転載しました。


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