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★分子栄養学(三石理論): 脂質の代謝と生理機能

2種類の脂肪組織

 脂肪細胞の集団である脂肪組織は、体内にひろく分布しています。
通常は皮下や腹腔内、骨格筋や血管の周囲、乳腺に多い白色脂肪組織を指しており、成人では少なくなってしまう褐色脂肪組織と区別しています。
 褐色脂肪組織は、胎内で発達し、誕生時にもっとも多くなって、出生にともなう急激な環境温度の低下に対応しているとされています。
 白色脂肪はよく知られているようにエネルギーを貯蔵し、褐色脂肪はエネルギーの消費をするという相反する役割をしています(右下図参照)。

 白色脂肪も褐色脂肪も、細胞内の中性脂肪から脂肪酸をつくりますが、前者はそれを血中に出して全身に供給するのに対し、後者は細胞内部で酸化して生じるエネルギーを熱に変えているのです。
 褐色脂肪細胞のミトコンドリアには、UCP(脱共役タンパク質)が陣どっていて、エネルギー物質ATPの代わりに熱をつくっており、これは散逸させられてしまいます。
 寒冷刺激は交感神経を介してUCPを活性化し、体温維持を助けます。
 近年、褐色脂肪細胞は、食物を摂取したときにおこる“食事誘発性熱産生”にかかわっており、その機能低下が肥満の一因になるといわれるようになりました。

肥満の問題
 体脂肪の蓄積は、生体にとって合目的的な生理現象ですが、過剰に生じた場合、高血圧や糖尿病などの発症リスクになるとされており、肥満はそれ自体が生活習慣病であるとまでいわれています。肥満にかかわる遺伝子や分子の知識が正しい体重調節に役立つでしょう。

脂質の機能
 脂肪組織に蓄積する中性脂肪(トリグリセリド)は分類上、単純脂質に属しています。
 脂質は単純脂質と複合脂質とに大別されますが、前者には脂質の加水分解で生じる脂肪酸やステロイドを加えており、後者ではリン脂質や糖脂質があります。
 複合脂質は、分子中にリン・イオウ・糖などが含まれており、なかでもリン脂質は生体膜を構成する主要成分として重要です。
 脂質の機能の第1が効率のよいエネルギー源であり、第2が生体膜成分としてその機能を担うことですが、3番目に挙げられるのがステロイドホルモンや脂溶性ビタミンや、脂質メディエーターと総称される多彩なシグナル分子のはたらきです。
 細胞膜中のリン脂質からは、プロスタグランディン(PG)やロイコトリエン(LT)や血小板活性化因子(PAF)などの、炎症やアレルギーにかかわる生体反応をひきおこすシグナル伝達分子がつくられています。
 リン脂質はまた、血清リポタンパク質として血中での水に溶けない物質の輸送体の役割をもっており、その動態が健康指標になっています。

脂質の代謝
 リン脂質にはアラキドン酸のような多価不飽和脂肪酸が組みこまれていて、これが生体膜の流動性のもとになったり、酵素により切り出されて各種脂質メディエーターに変換されたりするのです。
 からだは、脂肪酸やコレステロールを合成したり分解したりする基本的な代謝システムを備えていますが、必要量を合成できない脂肪酸があります。そのため 食事によってとり入れなければならないのが、リノール酸、アラキドン酸、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸という多価不飽和 脂肪酸のなかまで、必須脂肪酸とよばれています。

 ただしアラキドン酸はリノール酸からつくられ、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)とはα-リノレン酸から変換する反応があるので、重要な必須脂肪酸はリノール酸とα-リノレン酸ということになります。
 摂取したリノール酸やα-リノレン酸は、主に肝臓でより鎖が長く(つながっている炭素の数が多い)、不飽和度が高い(二重結合が多い)ものへと変換されます。
 リノール酸からアラキドン酸へと流れる反応経路を“n-6系列”といい、α-リノレン酸からEPAを経てDHAへゆく経路は“n-3系”といわれます。
 n-3系とは、脂肪酸分子の基本構造(右上図)で、メチル基(CH3)末端から数えて3番目の炭素に最初の二重結合がある脂肪酸であり、同じく6番目のものがn-6系というわけです。
 n-3系とn-6系多価不飽和脂肪酸とからつくられるDGやLTは対照的にはたらくものが多く、摂取量によって免疫反応の増強や抑制などさまざまな効果があらわれてきます。

核内受容体と脂質
 ペルオキシソームという名の細胞小器官は、長鎖脂肪酸の酸化や、心筋や脳のリン脂質の成分を合成するはたらきが知られています。
 1990年に、ペルオキシソームを増加させる因子(ペルオキシソーム増殖活性化受容体)が発見されました。
 ペルオキシソーム増殖活性化受容体は、英語名からPPARと略記され、α、δ、γの3型があります。ペルオキシソームを増やす作用をもつ因子によって活性化する核内受容体です。
 核内受容体は、ステロイドホルモン、レチノイン酸、脂肪酸、胆汁酸などの脂溶性物質が結合することにより活性化されて、核内で種々の遺伝子の転写を調節する転写因子のグループで、PPARはステロイド受容体スーパーファミリーに属しています。
 最初に発見されたPPARαは、肝臓、腎臓、胃、十二指腸に多く、γ型は脂肪組織や免疫系組織に、δ型は全身にというように発現しており、それぞれの遺伝子多型と、糖尿病やアテローム性動脈硬化や脂質異常症、ガンなどの疾患とのかかわりが注目されるようになりました。
 例えばアテローム性動脈硬化ではプラークとよばれる隆起が血管壁に生じますが、その内部のコレステロールを主体にした脂質コアが大きくなると軟らかくこわれやすくなります。
 プラークの破綻は、出血や血栓のもとになり心筋梗塞発症に至る場合もあります。
 PPARγはプラーク形成や炎症に抑制的にはたらくといわれています。

コレステロール代謝
 コレステロール代謝もまた、核内受容体による調節を受けています。
 コレステロールは、リン脂質とともに生体膜の主要な構成成分であり、さらにリポタンパクやステロイドホルモン、胆汁酸、ビタミンDの素材となる脂質で、 すべての細胞はコレステロール合成酵素をもっています。加えて細胞表面のLDL受容体を介して血液中のLDLをとりこみ、それに含まれているコレステロー ルを得て利用することもしています。
 細胞内のコレステロール濃度が上昇すると、合成が抑制され、細胞外からのとりこみも減少し、反対に細胞内濃度の低下で合成をすすめ、LDLとりこみもふやすというフィードバックがはたらき、恒常性が維持されるのです。
 細胞内で増加したコレステロールの一部が酸化された酸化ステロールは、核内受容体LXRに結合し、余分のコレステロールを細胞外へ排出するトランスポーターのタンパク質や、胆汁酸合成にかかわる酵素などの遺伝子発現をすすめます。
 胆汁酸と結合する核内受容FXRもあります。
 FXRの活性化は、胆汁酸トランスポーターのmRNA転写を促進し、コレステロール合成酵素の発現を抑えます。
 脂肪酸は胆汁として消化管へ出されて、小腸での脂質吸収を助ける役をしますが、その後、胆汁酸トランスポーターによって大部分が再吸収されます。この現象を“腸肝循環”といいます。ここで失われた分の胆汁酸合成のためにコレステロールが消費されることになります。
 胆汁酸分泌は、コレステロールを排出する唯一の代謝経路になっているのです。
 腸肝循環は、1日に何度も繰り返されており、再吸収されなかった胆汁酸は、大腸で腸内細菌により分解されて捨てられています。
 胆汁酸再吸収が抑制されている肉食動物は、血中コレステロール値が高くなりません。

リン脂質の役割
 水に溶けない脂肪やコレステロールはタンパク質とリン脂質の複合体(リポタンパク)によって血中を運ばれます。
 胆汁中でもリン脂質はタンパク質・コレステロール・胆汁酸と複合体になって存在しています。

脂質代謝と疾患


肥満と肥満症
 肥満の基準としてBMI(体格指数)が用いられています。BMI(body mass index)の算出法は、BMI=体重(kg)/身長(m)2で、日本肥満学会の基準では、BMIが22になる体重を標準にしており、この場合に肥満にもとづく合併症がもっとも少なく、従って寿命が長いというのです。
 BMIはおもに先進国で採用されている指標ですが、どの数値を肥満と判定するかという点は統一されてはいません。それぞれの国で27~30以上の場合を肥満としており、日本では25にしています。
 その根拠は、BMIが25以上から糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病といわれる病態が急に増加することにあります。
 肥満とは単に体重が多いということではなく、白色脂肪組織が過剰というものですが、BMIすなわち体脂肪量をあらわしているわけではありません。体重と身長が同じであれば、筋肉量の多い人と脂肪量の多い人とで肥満の程度は同じと判定されることになります。
 肥満が原因となって、糖尿病、脂質異常症、高血圧、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、腎機能障害、関節障害、月経異常、心血管障害といったさまざまな疾患を発症したり、将来その可能性が高い場合に「肥満症」と診断されます。
 肥満症治療では、摂取エネルギーを制限し、消費エネルギーを増加して、エネルギーバランスを変換させる生活習慣を基本にしますが、体タンパクは保持し、内臓脂肪を減少させることが重要になります。タンパク質およびビタミン・ミネラルの確保は必須条件といえるでしょう。

低エネルギー食の問題
 エネルギー源としての糖と脂質の配分については、最近の研究では、メタボリック症候群の改善効果は、脂質制限よりも糖質制限のほうが高いと報告されています。
 食事のPFC比(タンパク質:脂肪:糖の配分比)では、古くから25:15:60が一般的でしたが、F(脂肪)とC(糖質)の比を変えて、体重や内臓脂 肪減少、血中インシュリン・中性脂肪の低下、HDLコレステロールの上昇などを比較したところ、PFC比=25:20:55の高糖質食に対して、 25:35:40の低糖質食の有用性が確かめられたというのです。
 内臓脂肪を分解し、β酸化をすすめる酵素の活性は、糖質に対する脂肪の割合が多い食事により調節され、有利にはたらいたことになるでしょう。

脂質の必要性
 低エネルギー食ではない通常の食事では、脂肪エネルギー比は20~30、必須脂肪酸の最低必要量はエネルギー比率の2.4%とされています。
 脂肪エネルギー比が、食事全体のエネルギーの15%以下では、脳出血の発症頻度が増加することが疫学研究で示されています。
 また脂肪が少ない食事では、糖質主体に傾きやすく、タンパク質の摂取量に問題が生じてきます。

脂肪組織と免疫
 肥満、とくに内臓脂肪型肥満がメタボリックシンドロームの基盤となることや、その原因として脂肪組織が分泌する炎症性サイトカインが注目されています。
 脂肪蓄積がすすむと脂肪組織のサイトカイン分泌の恒常性がくずれ、炎症性サイトカインの産生が高まる一方、抗炎症サイトカイン産生は低下します。
 肥満の進行によって、脂肪組織には多くの免疫担当細胞が集まってきて、炎症性サイトカインを分泌しているのです。

 脂肪組織には2種類の性質の異なるマクロファージが存在します。そして右下図にあるように通常のマクロファージ(M1)は、体重増加とともに減少し、M2といわれるマクロファージが増加してゆきます。
 M2マクロファージは、NO生合成を抑制する酵素をつくったり、抗炎症性のサイトカインを分泌したりして、炎症性変化が生じないようはたらいているので すが、肥満の脂肪組織ではM1マクロファージが優勢になり、起炎性サイトカインを分泌して、炎症性変化をすすめるようになります。
 最近、脂肪の分解により遊離脂肪酸が増加すると、組織にマクロファージが多くはいりこんでくることがわかりました。
 リンパ球のなかまも構成に変化が生じ、抗炎症に加担する抑制性T細胞やヘルパーT細胞は減り、炎症をすすめるタイプのT細胞が増加します。
 アレルギー反応にかかわるマスト細胞も、体重増加に応じて脂肪組織に多くみられるようになります。
 好中球は病原体感染に対して防御のさきがけとしてはたらき、急性炎症をひきおこしますが、肥満の初期に一過性に増加することがわかりました。
 炎症は酸化ストレスの火種になります。とくに内臓脂肪での酸化ストレス過剰がつづくと、アディポサイトカイン(脂肪組織がつくる生理活性物質)の産生異常(分泌不全・過剰)を招き、臓器の代謝に影響を及ぼすことになります。
 いろいろあるアディポサイトカインのなかで、動脈硬化や耐糖能低下を抑制する役のアディポネクチンの減少が、糖・脂質代謝異常からメタボリックシンドロームにつながります。
 エネルギー消費を調節するレプチンもまた、肥満によって増加します。レプチンは免疫細胞の寿命と機能にとって重要であり、発ガンや自己免疫との関連が明らかになっています。
 脂質研究の新しい展開です。

メグビーインフォメーションVol.363「細胞生物学と栄養学5 脂質代謝の新栄養学」より


www.megv.co.jp/web.php メグビーさんちより転載しました。




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