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★ひも理論とホログラフム

 ファン・マルダセナは、特定の仮説のもとでホログラフィック原理をはっきりした形にし、そうするなかで「ホログラフィック多宇宙」を初めて数学的に例証した。
マルダセナはこれを達成するために、私たちの宇宙とは形が違うが当面の目的のためには解析しやすい宇宙のなかで、ひも理論を検討した。
厳密な数学的意味において、その形の宇宙には境界面、すなわち内部を完全に取り囲む貫通不可能な表面がある。
マルダセナはこの表面に焦点を絞ることによって、特定の宇宙のなかで起こることはすべて、境界面上に現われる法則と過程が映った影であるということを主張したのである。

 マルダセナの示した方法は、ホログラフィック宇宙に関する考えを明確にして定量的に検討する事ができ、しかも数学的な実験の場を提供できた。
何よりもエキサイティングなのは、これらの理論的洞察と私たちの宇宙の物理現象のあいだに、つながりが構築されうることを示す証拠が出てきたことである。
これから数年のあいだに、そのつながりによって、ホログラフムの考えが実験的に検証できる可能性が高まっている。

 マルダセナはどうやってこのホログラフィック宇宙の大発見を成し遂げたのだろうか?

画像データzu2003
図1:ぴったり重なった3ブレーンと、ブレーン表面上に拘束されている開いたひもと、「バルク」を動き回る閉じたひも。

 マルダセナが大発見ために考えたことは、双対性の新たなバージョンをもち出したことである。
彼は、二つの相補的な視点から、上の図1のような、ぴったり重ねられた三次元ブレーン群の性質を検討した。
一つ目の視点は「内在的」で、ブレーンそのものに沿って動き・振動し・うねる、ひもに焦点を合わせた。
二つ目の視点は「外在的」で、ブレーンが太陽や地球のように、周囲の環境にどういう重力の影響を与えるかに焦点を合わせた。

 マルダセナは、どちらの視点も同一の物理的状況を記述するものであり、立脚点が違うだけだと主張した。
内在的な視点では、重なったブレーン上を動くひも(開いたひも)が関係する一方、外在的な視点では、重なったブレーンを境界面とした、時空領域(バルク)を動くひも(閉じたひも)が関係している。
この二つを同一のひもと見なすことで、マルダセナは時空領域内で起こる物理現象と領域の境界面上で起こる物理現象に明確なつながりを見出した。
つまり、ホログラフムを明確な形にする方法を発見したのである。

 図1のように、3ブレーンが隙間なくぴったり重なっていて一枚の厚板のように見えるものを考える。
この環境の内で動いているひもの振る舞いを考えてみると、ひもには二種類 - 開いた切れ端と閉じたループ - があって、開いたひもの端はブレーン内を隅々まで動くことはできるが、ブレーンから離れることはできない。
これに対して、閉じたひもは端がないので、広大な空間全体を自由に動くことはできるが、ブレーンと接触することはできない。
つまり、開いたひもはブレーンに拘束されているが、閉じたひもは空間のバルク(体積)をあちこち動き回ることができる。

 マルダセナは手始めに、低エネルギーのひも、つまり比較的ゆっくり振動するひもに限定した。
二つのひもに働く重力は、それぞれの質量に比例する。
しかし、低エネルギーのひもは質量が小さいので、そもそも重力にほとんど作用しない。
この低エネルギーのひもに焦点を合わせることによって、重力の影響が及ぼさないようにした結果、かなりの単純化が実現する。

 ひも理論では、重力は閉じたループ状のひもによってどの方向へも伝わる。
したがって重力影響を考慮しなくてすむようにすることは、閉じたひもが遭遇するあらゆるもの(とくに積み重なったブレーン上に存在する開いたひも)に、与える影響をなくすことに等しい。
開いたひもと閉じたひもの二種類のひもが互いに影響を及ぼさないようにすることで、マルダセナはそれぞれを別々に解析できるようにしたのだ。

 次に、彼はまったく同じ状況を別の視点で考えることにした。
今度は、3ブレーンを、開いたひもの運動を支える土台として扱うのではなく、それ自身が質量をもつ(重力の影響で周囲の空間と時間をゆがめる)一つの物体として見ることにしたのだ。

 以前からの研究により、ブレーンをどんどん積み重ねるにつれ、その集合的な量子場はどんどん強くなることが立証されていた。
最終的に、ブレーンの厚板はブラックホールのように振る舞うが、ブレーンの形をしているので、ブラックブレーンと呼ばれ、普通のブラックホールと同じように、ブラックブレーンに近づきすぎると逃れることはできない。
また、普通のブラックホールと同じように、遠くにいて何かがブラックブレーンに近づくのを見ている人に届く光は、ブラックブレーンの重力に対抗することで見えづらくなっている。
そのために、物体はエネルギーにとぼしく(低エネルギーと見分けがつかない)、ゆっくり動いているように見える。
因みに、「エネルギーにとぼしい」光や「低エネルギーに見える疲れ果てた」光とは、ブラックホールから這い出す(あるいはあらゆる重力源から脱け出す)ためにエネルギーを費やしたせいで、波長が伸び(赤方偏移し)振動周波数が減少している光にことである。

 このような視点から、ブラックブレーンを含む宇宙の低エネルギー性に注目した。
すると、最初の視点で取り組んだときと同じように、低エネルギーの物理現象には別々に解析できる二つの要素がからむことに気づいた。
一つ目の要素は、広大な空間のどこかで動いているゆっくり振動する閉じたひもは、低エネルギーのキャリヤー(運び手)としてはもっともわかりやすい存在だ。
そして、二つめの要素はブラックブレーンの存在に依存するということでる。

 マルダセナのは、二つの視点を比較することによて、この二つの視点はともに同じブレーンの層を記述していて、違うのはその視点の捉え方だけなので、一致するはずである。
どちらの記述にも空間のバルクを動く低エネルギーの閉じたひもは関係するので、その部分が一致するのは当たり前のことである。
このことから、二つの視点の前半部分はお互いに一致しているのだから、両記述の残りの部分も一致するはずだ。

 そしてそれがとんでもないことだとわかる。

画像データzu2004
図2:特定の時空内部で働くひも理論と、その時空の境界面上で作用する場の量子論の双対性を示す概略図。

 第一の視点に立ったときの残りの部分は、3ブレーンの上を動く低エネルギーの開いたひもで構成される。
低エネルギーのひもは、点状粒子の場の量子論によってもうまく記述されるものであり、ここでもそれが当てはまる。
閉じたひもがなければ、確実に重力場はない。
そしてひもはぴったり重ねられた三次元ブレーンの上だけでしか動けないので、場の量子論は三次元空間(時間の一次元を加えると合計四次元の時空)のなかに存在する。

 第二の視点に立った記述の残り部分を構成する閉じたひもは、ブラックブレーンの事象の地平面に十分近くて動きが遅く見える(低エネルギーに見える)限りは、どんな振動パターンも実行する。
そのようなひもは、ブラックブレーンからの距離に制限はあるものの、やはり9次元空間(時間の一次元を加えると合計10次元の時空)のなかで振動し、運動する。
そしてこの部分は閉じたひもで構成されるので重力を含む。

 二つの視点はどんなに違って見えても、同一の物理状況を記述している。
そのため、ひどく奇妙な結論に達する。

 【 特定の四次元時空における重力を含まない点状粒子の場の量子論が、10次元時空の一定区画を動いている重力を含むひもと同じ物理を記述する 】

 この結論は、現実世界でこの二つの理論ほど似ても似つかないものはない。
しかしマルダセナは数学からたどり着いた結果として、この結論にまともにぶつかざる得なかった。
この結果が奇妙であること - そして主張が大胆であること - には変わりはない。

 図2に図解されているように、ブラックブレーン厚板の重力によって、すぐ近くの10次元時空の区画が湾曲した形になりブラックブレーン厚板そのものはこの空間の境界面になる。
したがってマルダセナの結果は、この形の時空のバルク内のひも理論は、その境界面上の場の量子論と同一である、ということになる。

 これが「ホログラフィック原理」である。

 科学において、とりわけ重要な発見を伴う最高の成果は、いくつもの先行研究に依存している。
数学好きな人のために、マルダセナの結果をより正確に述べると次のようになる。
ブレーン層に入っている3ブレーンの数をNとし、ⅡB型ひも理論の結合定数の値をgとしよう。
gNが1よりはるかに少ない小さい数字のとき、物理現象はブレーン層の上を動く低エネルギーのひもによってうまく記述される。
同様に、そのようなひもは特定の4次元超対称性の共形不変な場の量子論によってうまく記述される。

 一方、gNが大きい数字のとき、この場の量子論は強相関なものになり、解析処理が難しくなる。
しかしこの状況でマルダセナの結果が意味するのは、5次元反ド・ジッター空間と5次元球面の直積空間(AdS5×S5)というブレーン層の地平面付近の空間を動き回るひもの記述が使えるということにはかならない。
したがって、gNの値が小さいものから大きいものへと変動するにつれ、物理過程は、4次元超対称性の共形不変な場の量子論で記述されるものから、AdS5(上付5)×S5(下付5)の10次元ひも理論で記述されるものに変わる。
これがいわゆるAdS/CFT(反ド・ジッター空間共形場理論)対応である。

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sonokininatte55.blog.fc2.com/blog-entry-155.html
その木に成って55さんちより転載しました。


・千早さん 『止めろよ原発!』 - みんなで歌おう 反原発ソング

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2013年03月23日 | 宇宙 | トラックバック(0)件 |
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